上狛キャッツとは

2017年、「木津川お茶猫プロジェクト」として発足。2018年に改称。木津川市上狛地区を拠点に、演劇・美術・映画・音楽・教育と多ジャンルに渡る『お茶とアート』にまつわる活動を展開。

かつて木津川から世界へ旅立っていった日本茶の輸出航路をたどりながら、継続的に国際協働制作を行っている。これまで香港・アメリカ・シンガポールのアーティストと協働創作を行っている。現在も複数のアートプロジェクトが進行中。世界のアーティストと地域社会を、お茶をくみ交わすように優しくつなぐ芸術活動を続けている。

京都府木津川市は、お茶の町です。

私は、初めて木津川を訪れた時に飲んだ伝統的な製法でつくられた日本茶の味に感動しました。その味は、今までの人生で飲んだどのお茶の味とも違っていました。深く、豊かで、優しい、簡単には言い表せないたくさんのイメージを含んだ味でした。

今から約100年、この町から日本のお茶が世界へ旅立っていきました。

上狛浜という川岸から、木津川を下り、大阪、神戸ヘ。そして、アメリカやイギリスへ売られていきました。当時、木津川市には100軒以上の茶問屋が立ち並んでいたと言われています。

しかし、時代とともに茶問屋も減り、今では町は、ひっそりと静まりかえっています。

そんな町を歩くと出会うのが、人気のない路地に暮らす野良猫たちです。私の目には、彼らは普通の野良猫とは違い、優雅で上品に見えました。そして、それはお茶の香る町に生まれ育ったからではないかと想像しました。

この猫たち=「お茶猫たち」が、静かに見つめてきた時代とともにうつろう人間の営みを語る。そんな構想のもと創作した作品が2016年に上演した『上狛キャッツ』です。

一方で、お茶に魅せられた人々が引き起こした悲劇もありました。

1840年、イギリスと中国との間に起こったアヘン戦争。中国人をアヘン中毒にしてまで、イギリス人が欲しかったのが、お茶でした。そして、その戦争の結果、中国からイギリスへ割譲されたのが「香港」です。

香港の歴史における最重要ポイントをつくったのはお茶だったのです。

お茶というのは町の歴史を狂わすほど大変魅力的なものなのです。私は、このお茶に翻弄された二つの町=木津川と香港の姿を描くため、二人の香港の俳優を日本に招き、『上狛キャッツ』に出演してもらいました。

私は、かつて木津川から世界へ日本のお茶が輸出されたように、このプロジェクトで生まれた作品を世界へ発信したいと考えています。そして、発信するだけでなく、海外のアーティストを木津川に招き、継続的に国際協働制作を行っていきます。そのコラボレーションによって、かつて茶が通った「海のシルクロード」をなぞるように文化の道を開拓したいと考えています。

香港はお茶の歴史を語る時に必要不可欠な存在です。そこで、私たちは香港のアーティストと連携しながら、このプロジェクトを進めていきたいと考えています。

日本を発った小さな私たちの船が、香港に寄港し、さらに大きくパワーアップして、その先の世界へ旅立って行けるように、一緒に歩んでいきましょう!

上狛キャッツ(旧木津川お茶猫プロジェクト) 

芸術監督  田村佳代(Theatre Group GUMBO)